PONTAkun’s blog

自分の生きてきた経験や思いを素直に書いてます

出会えた本物

おはようございます!!


今回は本物の強さへ触れた経験をお話しします。


強さに答えも形もないけれど、この人は強いと感じさせてくれた数少ない体験談をご紹介します。


お時間ある方、良かったら読んでやって下さい^_^




まだ僕がボクシングをやり始めた時の話。


弱い自分を変えたくて始めたボクシング。


しかし現実は甘くなく、精神的にも肉体的にも弱かった僕は、人に殴られるのも人を殴るのも怖かったのです。


ただ、ボクシングジムに入会してからは真面目に通っていたため、割と早い段階でスパーリング(練習試合)をさせてもらえました。


練習生は技術的に未熟なため、スパーリングをさせると危ないため、真面目に通っていないとなかなかさせてもらえないのです。


そして、今でも忘れることない初めてのスパーリング。


相手はプロテストを控えた同い年の人でした。


しかし、実力差はかなりありました。


いざリングに上がったとき、ここまで緊張するのかというくらい緊張しました。


殴り合う怖さ。


あまりの緊張からゴングが鳴ったとき、どうしたらいいのかわからずただ立ってました。


すると相手は猛然と襲いかかってきて、ひたすら殴られ続けました。


もはや人間サンドバック状態(笑)


トレーナーがその状態を見て「ストップだ!ストップストップ!」


開始早々、スパーリングを止められました。


鼻血を出した僕を見てトレーナーが「おい、大丈夫か?まだやれるか?」と聞いてきました。


本音を言えば「ギブアップっす!!」でしたが、みんなが見ているため意地を張って「やれます!!」と答えてしまいました。


スパーリング再開。


ビデオのリプレイの様に同じシーンを繰り返し、また殴られ続けました。


終いには相手の勢いに押されて、リングのロープからケツがはみ出して、リングから落ちそうになりました。


そしてまたストップ。


2ラウンド予定だったスパーリングは危険とみなされ1ラウンドで終了。


たったの1ラウンドで4、5回くらいストップされてしまいました。


試合だったら完全KO負け。


もし試合用のグローブであれだけパンチをもらっていれば担架で運ばれています。


ボクシングを始めて間もないのに早くも壁を信じました。


そして心も折れてしまいました。


練習生のときは基本的にスパーリングする場合、トレーナーが指名していました。


リングが1つしかないため空き状況によってスパーリングがある日とない日があって、主にプロを中心にリングを使います。


練習生でもスパーリングが出来るときはトレーナーから声をかけてくれました。


だけど僕はスパーリングが怖すぎて、ジムでトレーナーに声をかけられるとドキッとしました。


トレーナー「今日お前スパーだ!」


ご指名いただいた以上は男として逃げられない(笑)


そしてスパーリングをする→ボコられる→怖くなる→また違うにスパーリングをする→またボコられる。


悪循環から最終的にはボクシングが怖くなりました。


「俺ボクシングむいてないのかな。センスないし辞めた方がいいのかもな。」


いよいよ精神的に追い込まれた頃、ジムである人が声をかけてくれました。


その人はFさん。


プロでバリバリ活躍しており日本タイトルマッチまで経験したことのある実力者でした。


目立たない練習生・・・いや、ある意味で下手すぎて目立っていた練習生の僕に何の用だろうと思いました。


Fさん「お前いつも真面目に頑張ってるな。」


僕「いやいや、下手すぎて自分が嫌になりますよ(笑)俺なんかボクシングむいてないです。」


Fさん「そんなことないだろ。真面目ってのも才能だし。誰だって最初は下手から始まるんだよ。個人差はあるけど続けてれば変わるさ。」


僕「そうなんですかねー。自分がプロになれるとは到底思えなくて。」


Fさん「お前俺とスパーするか?」


僕「いやいや、殺されてしまいますよ(笑)遠慮しときます。」


Fさん「大丈夫だって!俺本気で殴らないから。よし、やろうか!」


僕「え、ちょっ・・・」


Fさん「すいません。今日こいつスパーしたいんで、リング少し使っていいっすか?」


止める間も無くトレーナーに言ってしまった・・・。


トレーナー「いいよ。ケガさせんなよ。」




あぁ、終わった・・・。


「今日、俺は鼻の骨とあばらが何本か折れるんだ」と本気で恐怖を感じました。


Fさんは僕と同じぐらいの身長と体重ですがハードパンチャーで、スパーリング相手のあばらを何回か折っています。


むこうは本気でないとは言え、素人の僕がこんな人とやればただでは済まない。


ヘッドギアとグローブをつけ、いよいよリングに上がる。


処刑台へ上がるような気分でした。


カーン!!


スパーリング開始のゴングがなりました。


さっき話しかけていた柔らかい雰囲気とは別人のFさん。


鋭い眼光から滲み出てる殺気と言うか圧力が半端じゃない。


これがトップクラスのプロの圧力かとかなりビビりました。


圧力が凄すぎて怖くてパンチを出せない。


その上に近づくことさえためらいそうになりました。


こっちが何をやっても見抜かれている感じがしてしまうのです。


向こうが近づいてくると怖くてたた逃げるしかない。


絶対に勝てない相手が迫り来るのにどうすればいいのかわからず、とにかく逃げ回っていました。


しかし、逃げ回ることでこっちのスタミナが徐々に無くなってきて、ついには逃げることも出来なくなってきました。


むこうは手を一度も出しはしないものの、近づいて圧力をかけてくる。


その繰り返し。


スタミナがもう持たない。


逃げられないと思い、やけくそで思いっきりパンチを出しました。




バンッ!!!!


え?


俺のパンチが当たった・・・。


練習生にすらまともに当たらないパンチがプロのランカーに当たった(笑)


最初はマグレたと思った。


だけど、ワンツーを打ったらまた当たった。


距離的に当たりやすいのか?


ただ、こっちのパンチが当たればむこうもやり返してくる、そう恐怖を感じました。


しかし、そうではありませんでした。


このスパーリングの本当の意味が直後にわかりました。


パンチが当たった瞬間、Fさんは僕の目をジッと見て頷きました。


そのとき確かに聞こえたFさんの心の声。


「そうだ!それでいいんだ!自信を持ってこい!」


Fさんは僕に自信をつけるため、わざとパンチをもらってくれていたのです。


僕がパンチを打って当たるたびに、熱い目でこっちを見て頷いてくれました。


プロがこんな下手くそな練習生のパンチもらうメリットなんてどこにもない。


それなのにここまでしてくれることに本物の強さと優しさから感動し、スパーリング中なのに泣きそうになりました。


「この人何でこんなにすげぇんだよ!」


スパーリング中は当然、言葉を一切交わしていませんが、心の対話をさせてくれたような気がしました。


スパーリングが終了し、Fさんが僕のところへ来てくれました。


Fさん「おう、お前強いじゃねえか!才能なくなんか全然ねぇよ!お前ならプロになれるから頑張れよ!」


僕「ありがとうございました!」


このとき本当に心の底から「ありがとうございました」と伝えたかったです。


短い時間ではありましたが、この体験で本当にいろいろなことを教えてもらいました。


本当の強さとは相手を打ちのめすだけでなく、相手に分け与えることもできること。


そして、出会いがあればボクシングのみならず、スポーツには勝敗を超越した何かがあること。


僕は自分がもしプロになれたら後輩に同じことを伝えなければならないと、Fさんから大事ものを預かった気がしました。


それは頭で理解するものでなく、心で感じるもの。


Fさんのお陰で自分は勇気と自信が少しずつ身についていきました。


そしてFさんはいつも声をかけてくれました。


「お前強くなってるんだから自信持てよ。」


世の中には本当に強い人がいる。


2年後、Fさんはチャンピオンになれず引退しました。


だけど、僕の中では正真正銘のチャンピオンです。